コンサルティング業界を志望している方や、すでに現場で働いている方の多くが、「これからも激務・フル出社が前提なのか」「リモート中心でも評価や成長に不利にならないのか」といった不安を抱えているのではないでしょうか。
2025年を迎えた現在、コンサル業界の働き方は大きな転換点にあります。リモートワークは一時的な特例ではなく、業界全体の標準インフラへと進化しました。一方で、オフィス回帰を強める動きも同時に進み、志望者や若手コンサルタントにとっては判断が難しい状況が生まれています。
本記事では、主要コンサルティングファームの最新動向やデータ、実際に起きているキャリア上の変化をもとに、これからの時代に求められる「働き方から逆算するキャリア戦略」を整理します。どのファームを選ぶべきか、どんなスキルや姿勢が評価につながるのかを理解することで、自分に合ったコンサルキャリアを描くヒントを得ていただけます。
コンサル業界でハイブリッド・リモートが主流になった背景
コンサルティング業界でハイブリッド・リモートワークが主流になった背景には、パンデミックという偶発的要因だけでなく、日本経済全体が抱える構造的な制約と、人材市場の力学の変化があります。COVID-19をきっかけに急速に普及したリモートワークは、当初は業務継続のための暫定対応でしたが、2025年現在では業界の前提条件として定着しています。
その根底にあるのが、労働人口減少と生産性停滞というマクロ課題です。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートによれば、日本が中長期的に成長率を維持するには、生産性を飛躍的に高める必要があります。長時間労働に依存してきた従来型のコンサルモデルでは、この要請に応えられないことが明確になり、場所や時間に縛られない働き方そのものが経営インフラとして再設計されました。
加えて、「2025年の崖」と呼ばれるDX遅延リスクも無視できません。年間最大12兆円規模の経済損失が指摘される中、企業はデジタル変革を推進できるコンサルタントを強く求めています。しかし、その供給は慢性的に不足しており、優秀な人材を確保するためには、出社前提の硬直的な働き方を見直さざるを得ませんでした。特にIT・デジタル領域を担うコンサルタントほど、リモート前提の労働市場で国際的に競争が起きています。
| 要因 | 内容 | 業界への影響 |
|---|---|---|
| 労働人口減少 | 団塊世代の後期高齢化 | 柔軟な就労で労働参加を拡大 |
| DX需要の急増 | 2025年の崖への対応 | デジタル人材獲得競争が激化 |
| 生産性課題 | 時間投入型モデルの限界 | 成果重視・非同期化が進展 |
さらに、日本特有の労働意識も背景として重要です。Genslerのグローバル調査では、日本だけが「オフィス滞在時間を減らす方が生産性が上がる」と回答しています。コンサルタントの主要業務である論点整理や資料作成は、一人での集中作業が多く、必ずしもオフィス集約型である必要がないという認識が現場レベルで共有されました。
こうした状況が重なり、コンサルティングファームにとってハイブリッド・リモートは福利厚生ではなく、人材戦略そのものになっています。出社回帰の議論が続く中でも、完全なオフィス前提に戻れないのは、柔軟性を失った瞬間に人材流出が起こることを、各社がデータと経験から学んだからにほかなりません。
データで見る日本のテレワーク実態とコンサル業界の特異性

日本のテレワーク実態を俯瞰すると、コンサルティング業界がいかに特異なポジションにあるかが浮かび上がります。パーソル総合研究所の調査によれば、2024年時点で正規雇用者全体のテレワーク実施率は約22.6%と、コロナ禍ピークからは落ち着いたものの横ばいで推移しています。一方で、従業員1万人以上の大企業では38.2%と再び上昇に転じており、知識集約型産業を中心にリモートワークが「前提条件」として定着しつつあることが読み取れます。
特にコンサルティング・情報サービス業では、各種採用データの分析から実施率は70%以上と推計されており、日本全体の平均を大きく上回ります。これは福利厚生としての柔軟性ではなく、優秀な人材を確保し続けるための競争戦略そのものです。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートが指摘するように、日本は労働人口減少下で生産性向上を迫られており、場所に縛られない高度人材の活用は避けて通れないテーマになっています。
数字で見ると、コンサル業界が日本の働き方の中で「別のゲーム」をしていることが明確です。
| 区分 | テレワーク実施率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 全産業(正規雇用) | 約22.6% | 横ばい、出社回帰が進行 |
| 大企業(1万人以上) | 38.2% | 再上昇、制度として定着 |
| コンサル・情報サービス | 70%以上 | ハイブリッドが標準装備 |
さらに興味深いのは、日本人の労働意識そのものが、コンサル業界の働き方と強く結びついている点です。建築・オフィスデザインで世界的に知られるGenslerの「Global Workplace Survey 2025」によれば、日本は調査対象国の中で唯一、「オフィスで過ごす時間を減らす方が生産性が高い」と考える割合が多数派でした。日本のワーカーは勤務時間の約50%を一人作業に充てており、論点整理や資料作成といった深い思考を要する業務では、リモート環境の方が適しているという認識が共有されています。
この傾向は、コンサルタントの実務と極めて相性が良いと言えます。仮説構築、定量分析、ストーリーライン設計などは、常時コラボレーションよりも集中力が成果を左右します。そのため日本のコンサル現場では、「出社=生産性向上」という単純な図式が成立しにくく、ハイブリッドワークが合理的な選択として支持されてきました。
加えて、2025年問題として知られる労働力不足も、業界の特異性を後押ししています。TUNAGの分析が示す通り、介護や育児と仕事を両立できる環境整備は、もはや理想論ではなく人材確保の現実解です。地方在住者や時間制約のある人材を戦力化できるコンサルティング業界は、日本全体の中でも一歩先を行く存在となっています。
データが示すのは、コンサル業界が日本のテレワーク実態の「例外」ではなく、「将来像の先取り」であるという事実です。
アクセンチュアに見るグローバル方針と日本独自戦略の違い
アクセンチュアは世界最大級のコンサルティングファームであり、その働き方方針は業界全体に強い影響を与えています。2025年現在、同社ではグローバル本社が主導するオフィス回帰方針と、日本法人が採用する現実適応型の戦略が明確に分岐しており、この違いを理解することは志望者にとって極めて重要です。
まずグローバル方針では、2024年後半から2025年にかけて、週2〜3日の出社を求めるRTO施策が段階的に強化されています。背景には、対面でのコラボレーションがイノベーションや企業文化の維持に不可欠だという認識があります。マッキンゼーやBCGも同様に、対面を重視する姿勢を強めており、アクセンチュア・グローバルもこの潮流に足並みをそろえた形です。
一方で、日本法人は異なる現実に直面しています。パーソル総合研究所やJILPTの調査によれば、日本の知識労働者はリモート環境での個人作業効率を高く評価する傾向があり、GenslerのGlobal Workplace Survey 2025でも、日本だけが「オフィス滞在時間の削減が生産性向上につながる」と回答しています。こうしたデータを踏まえ、日本法人は柔軟性を競争優位と位置づけています。
| 観点 | グローバル方針 | 日本法人の対応 |
|---|---|---|
| 出社頻度 | 週2〜3回を推奨・義務化傾向 | プロジェクト・部門裁量が大きい |
| 働き方の目的 | 文化醸成・協働重視 | 人材確保・生産性最大化 |
| 居住地の自由度 | 限定的 | 全国居住可(制度化) |
象徴的なのが、日本独自の「ロケーション・フレキシビリティ制度」です。これは部門長承認を前提に、日本全国どこに住んでも勤務できる仕組みで、前橋や福岡、北海道などの地域拠点拡大とセットで運用されています。EYやPwCも柔軟性を打ち出していますが、これほど大規模かつ制度として明確に全国居住を認めている点は、アクセンチュア日本法人の大きな特徴です。
ただし、この柔軟性は全社員に一様に適用されるわけではありません。戦略・構想策定を担う部門ではグローバル方針の影響を受けやすく、出社回帰圧力が相対的に強い一方、テクノロジーやオペレーションなどのデリバリー領域では、ほぼフルリモートに近い働き方が維持されています。同じアクセンチュアでも、配属領域によって働き方が大きく異なる点は見落とせません。
この二層構造は、日本市場における人材獲得競争の激化と無関係ではありません。2025年の労働力不足を背景に、優秀なデジタル人材を確保できるかどうかが成長を左右します。アクセンチュア日本法人は、グローバル方針をそのまま適用するのではなく、日本の労働意識と市場環境に合わせて再設計することで、現実的な最適解を選択していると言えます。
Big4各社の働き方ポリシーとキャリアへの影響

Big4各社はハイブリッドワークを前提としながらも、働き方ポリシーの設計思想には明確な違いがあります。この違いは日々の業務体験にとどまらず、どのようなスキルが身につき、どのキャリアパスが描きやすいかに直結します。
まず共通点として、Big4はいずれも「完全リモートを原則」とはしていません。クライアントワークの性質上、対面での信頼構築や若手育成の必要性を重視しており、週1〜3回程度の出社を基本とするハイブリッドモデルが標準です。ただし、その運用の柔軟さには差があります。
PwCとEYは個人裁量を比較的重視する設計で、チーム合意や業務内容に応じて出社頻度が調整されやすい傾向があります。PwCは「Trust」をキーワードに掲げ、成果と責任を果たす限り働く場所は問わないという思想を明確にしています。EYもFlex & Remote制度を通じ、居住地の自由度を高めることで長期的なキャリア継続を支援しています。
一方で、デロイトは管理とコンプライアンスを重視したポリシーが特徴です。税務・労務リスクへの感度が高く、週3回出社推奨など比較的明確な指針が示されるケースが多いです。KPMGはその中間に位置し、プロジェクト要件を最優先しつつ、イノベーション拠点への出社を価値創出の場として位置づけています。
| ファーム | 働き方ポリシーの軸 | キャリアへの主な影響 |
|---|---|---|
| PwC | 信頼と裁量 | 自己管理力とデジタル発信力が評価に直結 |
| EY | 柔軟性とD&I | ライフイベントと両立しながら専門性を深化 |
| デロイト | 管理と制度 | 対面での関係構築が昇進に影響しやすい |
| KPMG | 案件重視 | プロジェクト適応力が市場価値を左右 |
キャリア面で重要なのは、ハイブリッド環境では「見えない努力は評価されにくい」という点です。BCGやデロイトの人的資本に関する研究でも、評価者との接点頻度が昇進機会に影響する「近接性バイアス」が指摘されています。Big4でも例外ではなく、リモート中心で働くほど、意識的な成果共有や関係構築が不可欠になります。
その一方で、ハイブリッドワークは専門性特化型キャリアを後押しします。EYやPwCでは、管理職にならずに高度な専門領域で評価されるトラックが整備されつつあり、場所に縛られず市場価値を高める選択肢が現実的になっています。Big4の働き方ポリシーは、単なる福利厚生ではなく、どのようなコンサルタントとして成長するかを選別するフィルターとして機能しているのです。
戦略系ファームが出社を重視し続ける本当の理由
戦略系ファームが出社を重視し続ける理由は、単なる保守的な文化やマネジメントの都合ではありません。知的生産の質そのものを最大化するための構造的な必然が背景にあります。特にマッキンゼー、BCG、ベインに代表される戦略系ファームでは、アウトプットの差が数億円単位の意思決定に直結するため、働く「場所」が価値創出に与える影響を極めてシビアに捉えています。
第一の理由は、暗黙知の移転速度です。マッキンゼー・アンド・カンパニーがFuture of Work in Japanで指摘している通り、戦略コンサルタントの競争力の源泉はフレームワークそのものではなく、仮説の立て方や論点の削り方といった言語化しづらい判断プロセスにあります。これらは画面越しの会議では伝達効率が著しく低下することが、複数の内部調査で確認されています。
BCGが「オフィスは戦略である」と明言しているのも同じ文脈です。BCGのオフィス研究によれば、対面環境では議論の途中で生まれる割り込み質問や、ホワイトボード前での即興的な構造化によって、意思決定の質が平均して高まる傾向が見られました。完成された資料ではなく、未完成な思考をぶつけ合う場としてのオフィスが、戦略系ファームでは不可欠なのです。
| 観点 | 出社環境 | フルリモート |
|---|---|---|
| 暗黙知の共有 | 偶発的に高速で発生 | 意図的な設計が必要 |
| フィードバック密度 | 即時・非言語含む | 会議時間に限定 |
| 若手の成長速度 | 早い傾向 | ばらつきが大きい |
第二の理由は、徒弟制度を前提とした人材育成モデルです。LDCubeのOJT分析でも示されているように、リモート中心の環境では若手が「放置」されるリスクが高まります。戦略系ファームはこのリスクを熟知しており、育成コストが最も高いジュニア層ほど対面を重視する傾向があります。これは短期的な効率より、長期的な人材価値を優先した判断です。
第三に、評価と信頼形成の問題があります。GenslerのGlobal Workplace Survey 2025では、日本では一人作業志向が強い一方、評価者側にはプロキシミティ・バイアスが残存していることが示唆されています。戦略系ファームはこの歪みを放置せず、そもそも同じ場にいる時間を増やすことで評価の不公平性を下げようとしているのです。
結果として、戦略系ファームの出社重視は時代遅れではなく、極めて合理的な選択だと言えます。高度な意思決定支援を生業とする以上、思考の質と育成速度を最大化できる環境を選ぶのは必然であり、オフィスは今なおその中核に位置付けられています。
リモート時代に顕在化するOJT・育成の課題
リモートワークが常態化したことで、コンサルティング業界の人材育成、とりわけOJTの在り方に深刻な課題が顕在化しています。従来のコンサル育成は、先輩の資料作成やクライアント対応を間近で見て学ぶ徒弟制度に大きく依存してきました。しかしオンライン環境では、その暗黙知が可視化されにくく、学習機会そのものが構造的に減少しています。
LDCubeによるOJT調査でも、リモート環境下では新人が「何をどこまで求めてよいのか分からないままタスクを抱え込む」傾向が強まると指摘されています。特にコンサル業務は成果物の質が最重要である一方、プロセスの正解が一つではありません。そのため、レビュー前の思考過程に触れられないことが、成長スピードを大きく鈍化させます。
オフィスでは、質問する前に他人の会話や修正指示から学ぶことができましたが、リモートでは自ら声を上げた人だけがフィードバックを得やすくなります。結果として、自己主張が得意な人材とそうでない人材の間で、スキル獲得に大きな差が生まれやすくなります。マッキンゼーが指摘するように、知識労働では偶発的学習が生産性と成長を左右しますが、その前提が崩れているのです。
| 観点 | 対面中心のOJT | リモート中心のOJT |
|---|---|---|
| 学習機会 | 偶発的に多発 | 意図的に設計しないと不足 |
| フィードバック | 即時・非言語含む | 遅延・言語化依存 |
| 成長の差 | 比較的均質 | 自己主張力で二極化 |
さらに問題なのは、育成する側であるマネージャー層の負荷です。プレイングマネージャーが主流の日本のコンサル現場では、リモート下で部下の進捗や理解度を把握するコストが急増します。Makana Partnersの調査が示す通り、管理職が「罰ゲーム」と捉えられ始めている背景には、こうした見えない育成負荷の増大があります。
一部のファームでは、オンボーディング期間中の出社義務化や、レビュー専用の短時間ミーティングを制度化するなどの対策を進めていますが、万能解は存在しません。PwCやEYが強調するように、今後は制度以上に、ドキュメント文化や非同期フィードバックの質が育成成果を左右します。
コンサル志望者にとって重要なのは、リモート可否そのものではなく、リモート前提で育成が再設計されているかを見極める視点です。面接や面談の場で、レビュー頻度やメンターの関与度を具体的に確認することが、入社後の成長曲線を大きく左右します。リモート時代のOJTは、放っておけば崩壊しますが、設計次第で再構築できる領域でもあります。
昇進・評価はどう変わるのか 管理職を巡る最新動向
ハイブリッドワークが常態化したことで、コンサルティング業界における昇進・評価の考え方は大きく変わりつつあります。従来は長時間労働や対面での存在感が評価に直結しやすい構造でしたが、リモート前提の環境ではその前提が崩れています。**評価軸は「どれだけ頑張っているか」から「どの価値を再現性高く生み出せているか」へとシフト**しています。
特に顕著なのが管理職を巡る位置づけの変化です。Makana Partnersの調査によれば、日本では40代以下の社員の半数以上が昇進を望まないと回答しており、その理由として責任増大と報酬・裁量のバランスが取れていない点が挙げられています。コンサルティングファームでも同様の傾向が見られ、マネージャー以上はプレイングとピープルマネジメントを同時に担う負荷が、リモート環境でさらに増幅しています。
| 観点 | 従来 | 現在の変化 |
|---|---|---|
| 昇進評価 | 稼働量・対面貢献 | 成果の質・再現性 |
| 管理職像 | 昇進のゴール | 選択肢の一つ |
| 可視性 | オフィス常駐 | アウトプットと影響力 |
こうした状況を受け、Big 4や一部の外資系ファームでは評価制度の見直しが進んでいます。デロイトの人的資本トレンドでも指摘されているように、成果評価と人材育成を切り分け、管理職に過度な期待を集中させない設計が模索されています。具体的には、チーム売上だけでなくナレッジ共有や育成への貢献を定性的に評価する仕組みや、専門職トラックの拡充が代表例です。
一方で注意すべきなのが、Genslerの調査でも示唆されるプロキシミティ・バイアスです。**出社頻度が高い人ほど評価者の目に触れやすいという無意識の偏りは、完全には解消されていません**。そのためリモート中心で働くコンサルタントほど、成果の言語化やデジタル上での発信力が評価に直結します。SlackやTeamsでの議論主導、ドキュメントでの意思決定記録が昇進の材料になるケースも増えています。
管理職の魅力が相対的に低下する中、ファーム側も無理な昇進を前提としないキャリア設計を提示し始めています。EYやPwCでは、マネジメントを経ずに報酬レンジが上がる専門職制度を整備し、昇進を「罰ゲーム」にしない工夫を進めています。志望者にとって重要なのは、**どの評価軸で、どの役割が正当に報われるのかを入社前から見極めること**であり、昇進そのものより評価の透明性がキャリア満足度を左右する時代に入っています。
地方移住・フリーランスという新しいコンサルキャリア
ハイブリッドワークが定着した現在、地方移住とフリーランスを組み合わせた新しいコンサルキャリアが現実的な選択肢として浮上しています。これは単なる働き方の自由ではなく、キャリア戦略そのものの転換を意味します。
アクセンチュアやEYが導入している居住地自由化制度に象徴されるように、東京水準の案件を地方で担う環境は整いつつあります。総務省やMcKinsey Global Instituteが指摘する労働力不足の深刻化を背景に、企業側も地理的制約を設けない人材活用へと舵を切っています。
地方移住の最大の価値は、可処分時間と生活コストの最適化です。家賃や通勤時間が大幅に圧縮されることで、インプット学習や副業、専門性の深化に時間を再配分できる点は見逃せません。地方の中堅企業や自治体案件では、戦略立案から実行まで一気通貫で関われるケースも多く、手触り感のある経験が蓄積されます。
こうした流れと並行して、フリーランス・コンサルタント市場も拡大しています。みらいワークスなどのプラットフォームでは、フルリモートかつ月額100万円超の案件が珍しくなく、2025年の人材不足はスキル保有者に強い交渉力を与えています。
| 観点 | 地方移住型 | フリーランス型 |
|---|---|---|
| 収入の安定性 | 比較的安定 | 案件依存 |
| 裁量 | 中 | 非常に高い |
| 成長機会 | 事業全体視点 | 専門特化 |
地方移住とフリーランスは二者択一ではありません。週の一部をフリーランス案件に充て、残りを地方企業のアドバイザーとして関与するなど、ポートフォリオ型キャリアが成立します。PwCやBCGの調査でも、個人の自律性が高いほど満足度と生産性が両立しやすいと示されています。
重要なのは、肩書ではなく提供価値で評価される点です。組織に依存しない分、専門領域、実績の可視化、信頼構築が不可欠になります。地方移住・フリーランスという選択は、自由と同時に高い自己管理能力を要求する、成熟したコンサルタント向けのキャリアと言えるでしょう。
志望者が面接前に必ず確認すべき働き方のポイント
コンサルティングファームの面接前に必ず確認すべきなのが、制度としての働き方と、実態としての働き方がどこまで一致しているかです。求人票や採用サイトには「ハイブリッド」「柔軟な働き方」といった表現が並びますが、2025年時点ではファームごと、さらには部門やプロジェクトごとに運用実態が大きく異なります。このギャップを見抜けるかどうかが、入社後の満足度と成長速度を左右します。
まず確認すべきは出社頻度そのものではなく、出社と評価・アサインの関係性です。ボストン コンサルティング グループのハイブリッドワークに関する分析によれば、一律の出社ルールよりも、チーム裁量型の方が従業員満足度と生産性が高いとされています。これは裏を返せば、評価者の裁量が大きい環境ほど、上司の価値観次第で働き方が変わることを意味します。面接では「成果評価において、出社頻度はどの程度考慮されますか」と具体的に確認する姿勢が重要です。
特に若手志望者にとって見落としがちなのが、リモート環境下での育成設計です。 LDCubeのOJT調査でも指摘されている通り、リモート前提の組織では、育成の仕組みが弱いと「タスクだけ振られて成長機会が得られない」状態に陥りやすくなります。メンター制度の有無、オンボーディング期間中の出社要否、レビュー頻度などは、入社後の立ち上がり速度に直結します。
| 確認観点 | 面接での具体的な聞き方 | 見極めポイント |
|---|---|---|
| 出社と評価 | 評価や昇進に出社頻度は影響しますか | 成果重視か、近接性バイアスが残るか |
| 育成体制 | リモート前提での育成方法を教えてください | 制度と実例がセットで語られるか |
| 裁量の範囲 | 働き方は個人判断ですか、上長判断ですか | 裁量の主体が誰にあるか |
また、将来的なライフイベントとの両立可能性も重要な確認ポイントです。EYやアクセンチュアのように居住地の自由度を制度化しているファームがある一方、戦略系ファームでは対面重視の文化が依然として強く残っています。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートが指摘するように、日本では生産性向上の鍵として柔軟な働き方が不可欠とされており、ファームの方針は中長期で変化する可能性があります。その変化に自分が適応できるかを、面接の段階でシミュレーションしておくことが欠かせません。
働き方は福利厚生ではなく、キャリア形成の前提条件です。 面接前にこれらのポイントを整理しておくことで、表面的なブランドや年収に惑わされず、自分にとって持続可能な環境かどうかを見極めることができます。
参考文献
- McKinsey & Company:The future of work in Japan
- パーソル総合研究所:第9回 テレワークに関する調査
- Gensler:Why Japan’s Workplace Trends Are Moving Against the Global Current
- Accenture Japan:ロケーション フレキシビリティ制度活用事例
- Boston Consulting Group:Reviving the City Center: Office to Knowledge Campus
- EY Japan:EY Japan’s Long-term Value Vision
